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父の病気が判明してから、私の生活はガラリと変わってしまった。
まず、仕事に行ける日が大幅に減った。父の検査や入院、手術の日はもちろん、受診に付き添うために仕事を休まなければならなかった。
手術(腹腔鏡で腹膜播種の有無を調べただけだから、手術とは言わないのかも知れないが)が終わった翌日は、嘔吐しそうになっても自分で洗面器を口元に持っていくことも出来なかった。夫と私で夜まで付き添った。
翌日、翌々日とある程度体調が回復してきても、父は自分から歯を磨いたり、リハビリがてら廊下を歩いたりすることもしなかった。食事に使ったお箸すら洗うのをサボろうとする。私が毎日通い、夕食まで付き添って、散歩や歯磨き、食器洗いをするよう促すしかなかった。
病棟内は乾燥していて、普段から水分の摂取量が少ない父はみるみるうちに弱っていった。食欲も減り、ひどい便秘になった。外泊しても部屋でずっとゴロゴロして「水飲みや」「少しでもいいからごはん食べや」というこちらの助言も全く聞こうとしない。自分で元気になるための努力をしない。何もしないとどんどんしんどくなるだけなのに。
そういう状況だから、退院までの2週間は全く仕事に行けなかった。パートのおばさん達もあたふたして文句ばかり言い始めたらしく、見かねた上司は新しいスタッフを雇ってくれた。新しい人が来てくれたことにはとても感謝しているけれど、こちらの今までのやり方を全否定するような言い方ばかりされるので、もう私は身を引くことにした。先生も出勤出来る曜日を固定してくれと言っているし。1年間出来ないなりに精一杯やってきたつもりだったけど、これ以上迷惑をかけるわけにもいかないので、新しい「ベテランさん」に任せておけばよい。悔しいけど。
沢山休みをもらえたことは本当に助かった。約1ヶ月で引越しの荷造りをし、夫の仕事用の車で少しずつ運んで行った。
まずは私の荷物を、父の退院に合わせて実家に運び込む。年をまたいで夫の荷物も運んでゆき、最終的に引越し業者にも頼んで運んでもらった。
夫は自営業だから、2人分の荷物はものすごい量だった。何度マンションと実家を往復したかわからない。引越し業者のトラックにも積み切らず、その後4往復して、やっと運び終えた。
実家も実家で不要な荷物が大量にあった。15年前に死んだ母の遺品も相当残っていて、ごみ袋20袋分は出しただろう。粗大ごみも何度も回収に来てもらった。父も要らない服などを沢山しまいこんでいたので、2人で仕分けして処分した。父の分だけでもごみ袋5個分になった。夫の寝室としてひと部屋空けなければならなかったため、何度も父に謝って婚礼家具も処分した。どこの業者にも引き取ってもらえず、仕方なしに粗大ごみに出そうとしたけれど、当日たまたま、私達が家から運び出しているところに通りがかったおばさんが譲ってほしいと言って来て、引き取ってくれた。
父が自分の持ち物にあまり執着しない人なのをいいことに、片付けの際に思い出にひたることもなく、問答無用でどんどん捨てていった。2世帯になるために、おそらく家の中の半分くらいの荷物は捨てただろう。とても疲れた。

仕事を週1日3時間だけに減らし、毎日父と家で過ごす。父と一緒に起きて朝食を食べ、洗濯や掃除をし、父と昼食を食べに出かけ(父は行きつけの喫茶店に日替わり定食を食べに行くのだ)、荷物を整理して過ごし、夕食を食べ、仕事から帰ってくる夫の食事を準備し、父が寝てから晩酌につき合う。
あまりにも時間の流れがゆっくり過ぎて、だんだん疲れてきた。一軒家なので、今まで住んでいたマンションの家賃分は浮くけれど、それでもちゃんと働かないとお金がないことに変わりはない。何でもいいから、融通の利いてくれるアルバイトを探したい。せめて自分のおこづかいくらいは稼がないと、友達とのランチや買い物に行くのも気が引けてしまう。
何より、自分の時間も持たなければ、一日中父といたのでは気詰まりだ。退院して家に戻ってきてから、父は順調に回復していった。抗がん剤の効果が相当あるのだろう。入院前よりも食事量が増え、今では朝昼夕の3食に加えておやつや夜食も食べるくらいだ。抗がん剤の副作用による便秘や手のしびれ、足の痛みなどに悩まされているが、それも薬の投与1週間後には改善される(抗がん剤は3週間に1回)。ずっと付き添っている必要はない。
ただ、お金がないのと、携帯の電源を切らなければならない場所に行くのは躊躇われて、お芝居仲間の公演はほぼ全て断っている。安定していると言ったって、何があるかわからない。というか、今の小劇場に足を運んだって、この非日常的日常を忘れさせてくれるような傑作に出会えるとは思えない。私にとっては今の環境の方がよほど演劇的で、尚且つリアルだ。

父の病気が判明して以降、執筆が滞ってしまった。実家にインターネットを繋ぎ、自分の部屋を片付けて、やっと落ち着いてパソコンを開くことが出来るようになった。環境が出来ても気持ちがついてこなければ仕方ないので、なかなか進んではいないが、時間のあるうちに書いてしまわなければ。
ところで、今年中に子どもがほしいと夫婦で言っていたけれど、どうなんだろう。病気の父がいる家で子育てなんて出来るんだろうか。病人も子どもも抵抗力がないから、どちらかが病気にかかったらうつしてしまうし、まず父が子どもっぽいのに、もう一人子どもを産んで育てられる?夫も子どもっぽいし、3人の子育てなんて無理じゃないのか?(笑)金銭的にも余裕はないし。
でも、このタイミングで産んでおかなければ、状況はもっと厳しくなる・・・。

まさかこんなことになるとは思っていなかった。こんな状況になるとは。
自分の生活ではないように感じられて、先も見えない日が続いたし、精神的にもきつかった。
来月、CT検査で抗がん剤がどれくらい効いているか評価をして、父の今後の治療方針を決める。先が見えない日はまだまだ続いていく。
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プロフィール

a_hoyden(ミキ)

Author:a_hoyden(ミキ)
大阪府在住。30歳。
大学に5年通い、フリーター・医療系の契約社員を経験して、ふらっと結婚。
医療事務として真面目に働きつつ適当に家事やってます。
今は休憩中ですが、関西小劇場でお芝居をしています。

*好き*
中村中・Cocco・鬼束ちひろ・くるり・堺雅人・沢村一樹・佐々木蔵之介・オードリーの若林
いくえみ綾・小花美穂・「NANA」・さくらももこ・山田詠美・乙一・「八日目の蝉」・「17歳のカルテ」・南条あや
とろけるチーズ・サーモン・いくら・たらこ・モスバーガー
買い物に行った時にかわいい店員さんがいると嬉しい。

*嫌い*
グリーンピース
できちゃった結婚
自分の好きなものを馬鹿にされること
わかってもないのにわかったような口を聞く人
綺麗事

大学時代は実験心理学を専攻。
幼少期の母子関係が現在の対人関係にどのように影響しているかについて卒論を書きました。

境界性人格障害と診断されたことがあります。
リストカットやODをしていた時期もありました。
今は・・・何なんだろう。よくわかりません(笑)

とりあえず変な奴です。

*monologue-b*

*monologue*
以前使っていた日記です。

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